古本屋通信

吉本隆明全集

古本屋通信    No827   4月30日

  吉本隆明全集


 きょう毎日新聞を広げる機会があった。驚いた。晶文社から 『吉本隆明全集』 (全38巻・別巻1)が出るそうな。つい先日、古本屋は個人全集は買わないし、出版社もこれからは余程の事がないと刊行すまいと書いたばかりだ。いったい何を考えているのか分らない。しかし出版社の損得を考えて差し上げる義理もない。

 二点だけ。 
① 第二回配本第7巻『丸山真男論 日本のナショナリズム』月報執筆は加藤典洋・ハルノ宵子(第一回配本 第6巻は既に好評発売中で第3刷出来という)。いま調べたら第6巻は『戦後世代の政治思想 擬制の終焉』、第三回配本は第4巻『固有時との対話 転位のための十篇 マチウ書試論』、第四回配本は第5巻『高村光太郎 芸術的抵抗と挫折 転向論』
 ふ~ん。編年か。グーグルを引いたらウンザリするほど出た。アホラシ、やめた。ここら全部、古本で百円で読める。単行本でも勁草の著作集でもよい。アマゾンでは1円かも知れない。なんで6000円なら? それに書いてること、全部ゴミですよ。「擬制の終焉」の擬制って、共産党のことでしょ。吉本の方が早く済んでましたね。

② 推薦人が面白かった。
鶴見俊輔 上野千鶴子 福島泰樹 糸井重里 鷲田清一 中沢新一 見城徹 あと娘ふたり。こりゃ、ダメだ。娘は保留。あと7人全員、まともな奴は一人もいない。商売人ばかり。思想家皆無。論外。

 あっ、まあ鶴見俊輔だけは一言。いつからボケだしたのかハッキリしないが、創価学会系の『潮』に書き始めて頃からだろうか。自分の出自を誇るような事を言い始めたら、万事休す。筆の衰えは隠せない。久野収と対照的だった。癌だそうだ。ご自愛されたい。



 ちょっとこれだけでは寂しいので追加します。

 1975年頃、清心女子大学が吉本隆明を呼んで文芸講演会をやりました。演題は源氏物語に関するものでした。当時、清心には岡大を定年退官した森岡常夫教授が国文学科長として赴任していました。森岡は岡崎義恵の高弟で、源氏物語研究の第一人者です。私は森岡教授と話す機会がありました。

「先生、吉本を岡山に呼んだのは先生ですか。それに吉本は源氏を読めてるんですか」。
森岡 「いいえ、私は呼びません。学長の線でしょう。読める読めない、そんなこと私には分りません」。

 後になって、吉本を岡山に呼んだのは永瀬清子だったことが判った。永瀬はその頃、吉本の個人誌『試行』の常連投稿者だった。私が永瀬に最終的に愛想を尽かしたのはこの時だった。
  1. 2014/04/30(水) 15:49:43|
  2. 未分類