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古本屋通信

『部落問題』 から 『人権 21』

古本屋通信   No 4229    2019年  10月08日


  岡山県部落解放連合会の非連続の連続としての人権おかやま。そして 『部落問題 調査と研究 から 『人権 21 調査と研究


  私は 「No 4210 人権21 調査と研究 おかやま人権研究センター発行」 を自信を持って書いたが、こういう問題について書くとき、つい身構えてしまう。書いたあとも後味がよくない。この雑誌に論考を寄せた人の何人かは確実に私の古本屋通信文を読んでいる。当然ながら反応はない。タブーというより、論じだしたら際限もなく泥沼に入ってしまうからだろう。

 で余り片意地張った文ではなく、思いつくままに書くことにする。すでに何回か書いていることと重複するかも知れない。

 『部落問題 調査と研究』が刊行されたのは1961年だというから、とうぜん部落解放同盟の分裂以前だった。解放運動は1965年ごろから複雑な経過を辿って各府県ごとに分裂する。これは運動組織である。しかし運動組織と密接な関係のあった研究組織も複雑な経過を辿る。ここらはキリがないから省略するが、地域の部落問題研究組織が持続したのが、兵庫と岡山であった。京都と大阪は複雑だから省略する。岡山の『部落問題 調査と研究』はハッキリ言って県解連の理論的バックボーンであった。組織そのものが別仕立てでも、実質はその理論誌であった。私はこれに異議はない。解同の側も岡山部落解放研究所を創設して、津山の運動に関する研究などを発表している。

 部落解放運動は劣悪な部落の環境改善のため行政に環境改善を要求する運動だった。それは運動組織への資金援助をも含んだ。部落解放会館だとか民主会館の建設は運動の成果だった。その運動団体が研究組織を並立し各種出版物を刊行する、それは商業出版物ではない。だから行政から獲得した金を使うのは当然である。それも部落解放運動の一環だからである。

  だがここまでである。21世紀に入って部落差別は基本的に解消した、それが正しい認識である。だから全国部落解放連合会は解散し県解連も解散した。解散した翌日から全組織を解体せよと言っても、それは現実的ではなかろう。だが組織の温存はよくない。残務整理のための組織にとどめるべきである。

 私は部落解放のための組織が人権一般のための組織に衣替えするのに絶対反対である。世間に色々と存在する差別は、部落差別のような身分差別でなない。わかりきったことである。そういう各分野の運動はすでにある。ことさら人権組織など無用である。組織の温存の目的は見え見えである。すでに存在しない同和、その予算の延長要求である。

 これに対して尤もらしい理屈はいくらでもつけられる。だが行政が正直に語っている。人権おかやまも新婦人も毎年、対市交渉をする。その両方に参加した人によると、人権おかやまの交渉では役所は局長クラスが対応てしピリピリしているが、新婦人だと小ばかにして居眠りをしているそうだ。つまり人権おかやまを解連の延長と見て恐れている、間違いない。

 こういう状況のもとで 『人権 21 調査と研究』 は刊行されている。刊行を直ちに打ち切るべきである。

 まあ今回、少し丁寧に読んでみたわナ。殆どの論考が優れている。だがここまでに仕上げたのは菅木智子事務局長 兼 編集人の力量だろう。これが小出隆司さんだったら可能だったか。絶対にありえなかった。菅木さん、読んでいるかい? 新婦人にSさんが妻の遺作展の案内を持っていったろ。よろしくね。

  『人権 21 調査と研究』 は、ハードとしての県民主会館とならんで、岡山の民主勢力の理論的ソフトとして君臨している。わがほうが血と汗を流して獲得してきた党の陣地だ、そうたやすく手離せるものか、それが一致した認識であろう。だが考えてほしい。こういう認識は党内だけなのだ。

 いまでも民主会館は党の建物だと見られている。わが家にこられる客人は平気で民主会館に車を置かれるが、それだけでもわが家は党員一家だと見られる。別に迷惑しないが公民館もあるからね。

 もういい加減に差別を再生産することは止めようよ。 『人権 21 調査と研究』 の原価計算はしたが、またの機会に公表します。まぼろしの高級雑誌ですよ。部落解放運動の遺産。今は過去の遺産で食いつなぐ時代ではありません。

 それから人権おかやまだけどね、望月いそこ講演会の総括はちゃんとしてね。天下の笑いものでしたよ。
  1. 2019/10/08(火) 04:47:21|
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