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古本屋通信

A子さんと真佐代さん

古本屋通信   No 4200    2019年  9月24日


     A子さんと真佐代さん

 以下の記事も書こうか書くまいか迷ったが、いま書かないと永久に書けない。書くことにする。A子さんと真佐代さんは一面識もない赤の他人である。この記事には真佐代さんは余り登場しない。

 そのA子さんのことを過去2度にわたって、古本屋通信に書いている。その度に先方から 「すぐ消してちょうだい」 と抗議を受けて削除している。今度も読めば来るだろうが、読んでないだろう。来ても撥ね付けれるようにボカして書く。

 5,6年前、東京のA子さんから私に電話があり、1時間を超える長話をした。高校時代の同窓会をやるという案内だった。後ほど正式な案内があるが、東京の幹事である彼女から前もって連絡があったのだと記憶している。話の内容は半世紀ぶりの懐かしいアレコレだった。

 彼女は最近二十年ほど水墨画を描いていた。それを言いたかったのである。私の妻も絵を描いていると伝えたら、話は一気にはずんだ。妻は電話口のすぐ近くにいたが殆ど無関心だった。長電話にイライラするそぶりは無かった。

 A子さんはちょっとした絵画の名門の末裔だった。父方、母方の双方に著名な画家を持っていた。詳しくは書かないが、A子さんの実母の実兄が岡山の画家・久山章氏だった。このかたは最晩年、私の古本屋の客人でもあった。だから電話でも 「お伯父さん」 の話になった


 ここで妻のことに話題を転じる。妻は香川大学時代に神田融先生を師としたが、先生自身は殆ど絵筆をとらなかった。妻は岡山に来て二人の師匠に師事した。宇野亀一先生と久山章先生である。両人とも高齢のため指導を断られた。妻が自分から離れたわけではない。

 妻は宇野先生を尊敬し今もその油絵を玄関に飾っている。妻は久山先生を尊敬していたわけではないが、技法を学ぶために師事していた。

 ひとつエピソードを紹介しよう。妻が所属していた平和美術会はアンデパンダン、つまり無審査を特徴としていた。妻は日展や県展に興味がなかった。教職員美術展には出品したが。ところが久山先生が県展の審査員をされていた。それで妻に出品を勧めた。しぶしぶ出品した。第一回目は落選したが、第二回目で入選した。このとき久山先生が推挙されたそうである。別に謝礼を要求された訳ではないが、こういう時は「包む」のが普通らしい。アホらしくなって妻は以後は出品していない。「やっちもない」 と言っていた。

 妻のスタンスは保守画壇を端から敵視しない、それに関わる人がいてもよいが、自分は関わりたくないというものだった。だからA子さんの水墨画にもまるで興味を示さなかった。別の世界だったのである。

 だがA子さんは違った。私が「妻も絵を描いているんです」 と言った途端に、彼女は興味を示した。「ぜひ拝見したいワ。東京で個展をされないんですか。でも五十年って凄いわね。私なんて二十年ですから半分にもならないワ」。

 A子さんは岡山大学教育学部特美に合格していた。なのに蹴って清心女子大英文に進んだ。周囲はみんな残念がった。本人はアメリカに行きたかったから英文に進んだという。でも三十年間の空白ののち水墨画の道に進んだ。師匠はやはり久山さんと言われる。縁戚であろう。

 私とA子さんの関係は、すでに書いたような経緯で途絶えるのだが、電話で私が妻の来歴(教育学部中学校教員養成課程美術専攻)を言ったら、彼女の言葉が
とつぜん途切れた。絶句したのである。それは私が妻の絵は趣味で始めた絵ではなく、大学が美術専攻だったから描き始めたと伝えた時だった。彼女の想いは外からは伺い知れないが、きっと自分が岡大の特美を蹴ったことがあったのだろう。
 
 このことを妻にいったら、「きっと正式に大学で基礎から絵の勉強をした者には勝てんというコンプレックスがあるんじゃろう。血筋がよいんじゃから学歴なんかどっちでもよいのにな。そこが保守画壇じゃ。だから関わりとうない」

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 上記一文はAさんのことを書いているようで、本当はAさんをダシにして亡き妻のことを書いている。でも書きあげたあと読んでみて、A子さんがこれを読んだら、やはりいやだろうなと思う。私だったら、苦い思いで遣り過ごすが、怒り狂う人もいるだろう。問題は他人が嫌うことを端から書かないほうが良いのか、という事である。これだと結局なにも書けなくなるだろう。だから実名を避けて出来るだけ暈かす。それでも読む者が読めばわかる。

 実は読む者が読めば分かるように書いているのだ。私のブログに登場するイニシャル文字の党員と非党員なんかがそれである。文章といふのは生きている。死んだ文章を書けという要求には応じられない。私はこれでも物書きなのだ。



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 ここで関係無い備忘メモ

 香川大学美研のメンバー

妻より3級上  津田さん

妻より2級上  角さん

妻より1級上  若林さん  永井さん  朝倉さん

妻と同学年   京兼(妻の旧姓)   岩田君   小林君   北條さん  浮田さん

妻より1級下  今田君   小西君   藤沢君   金子さん(兼子さん?)  

妻より2級下  今田さん(今田君の細君)  近藤さん

 もう4,5人記憶にあったのに、思い出せない。よく記憶していると思われるでしょうが、地方の小さな国立大学ですからね。学生自治会の役員だったら普通のことでした。
  1. 2019/09/24(火) 02:15:30|
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