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古本屋通信

人物画は生々しいか

古本屋通信   No 4199    2019年  9月23日


  妻の絵。油絵140点、水彩210点他。人物画は生々しいか

 毎日少ずつお持ち帰り戴いているが、一向に減る気配はない。私は一日に数時間、妻の絵を上に下に移動させて至福の時を過ごしている。私は妻の生前に絵を見る機会は殆ど無かったのである。

 派手に並べているのは油絵だが、私は水彩も好きだ。すべてモデルを使ったアイの会の作品である。妻が毎週金曜日に石井小学校で仲間とともに描いていた。帰るたびに、きょうは満足に描けたとか、サッパリだったとか言っていた。私はごくたまに水彩画を貰って伊福町の書店の窓に飾った。でも数度だけだった。たまには通行人が立ち止まって見てくれた。

 そういうこともあって私は妻の人物画が好きだった。妻の絵を金を払ってまで買って下さった方も人物画だった。

 だから最初のグループの方が一点も人物画をお持ちにならなかったのが意外だった。そこで私は思わず皆さんの前でこう言った。「ウーン、人物、人気ないなあ」。そしたら、或る方がこうおっしゃった。「やっぱり生々しいからじゃあないかしら」。私「やっぱり、そうなんでしょうね」。

 私はこれを当日のブログに書いた。もちろん実名は書いていない。すでに消しているが、文は納得したと云う文脈である。概要 「私は妻の絵は静物より人物の方がよく出来ていると思うけど、お越しになった方によると、生々しいそうだ。なるほどと納得した。私でも一点だけ持ち帰るとしたら、人物ではなく静物にするだろう。つまり自宅に飾る際の商品価値だろう」とブログに書いた。

 それでも納得出来ないので、以後、数名に聞いてみた。まず同業のY氏 「見も知らずの他人を描いた作品を自宅の壁に飾る人はまずいないと思うよ」。他にも訪問客 3人に聞いてみた。「良いと思うけどやはり戴くなら無難な方を取りますよ」。


 これでこの一件は終わりのはずだった。ところが私の当日の記事を読まれた 「やっぱり生々しいからじゃあないかしら」 とおっしゃった方が、ひどく御立腹になったらしい。らしいというのは人伝えだからだ。「そういうことは一々書いてほしくない。これじゃあ何でも喋れない」。さらに、これを聞いた人に突っ込むと、自戒を籠めての呟きだったという。

 私は驚愕した。私は 「やっぱり生々しいからじゃあないかしら」発言をまったく否定していない、どころか肯定的に受け止めて記事を書いている。さらに数名から同様な見解を聞いている。これも記事にしていた。なんら怒られる理由は無い。あほらしくてグーの音も出ない。

 人間だれしも、後になって、あの時はアレを言わなかった方が良かったと思うことはある。自戒・反省することはしばしばある。だが、それは他人に言うべきことではない。自分の内部で消化し、昇華すべき問題である。それを他人に八つ当たりして、無断で書いた古本屋通信が許せないとなる。この神経の異常さ。

 こういうのは私の福武書店時代の若い女性にいた。唯我独尊で目が見えないのだ。周囲が困り果てて注意するのだが、自分中心だから絶対に治らない。ビョーキである。

 結局は意識の底流に古本屋通信は反共サイトであるという固定観念がある。だからこうなったのだ。私は反共ではないが、反共と見做してくれて一向に構わない。だが、ミソも糞もいっしょにするなということである。


 妻の絵は見れば見るほど飽きない。全点お持ち帰りいただきたいが、残ればそれも幸せである。

 きのう額に容れられた水彩画を見つけた。まったく見劣りしない。自信を持った。
  1. 2019/09/23(月) 04:18:26|
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