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古本屋通信

認知症の妻と土ひねりの会

古本屋通信   No 4185    2019年  9月15日


    認知症の妻と土ひねりの会、そしてUさん

 本題に入るまえに直前の今田君のところで書き忘れていた事がある。昨年8月に平美展があった時、妻は道に迷って会場に到着できなかった、そのときオカシイなあと思ったそうである。今にしてあれが認知だったのかと思ったそうである。石井さんの証言とあわせて妻は夏には完全に認知症だったのである。

 さて私は、岡西公民館を借りての土ひねりの会が何時はじまったのか知らないのだが、妻が初代の世話役でなかったことだけは確かである。古い方が引退される中で妻が世話役を引き受けたのであろう。世話役といっても大したことをやったわけではない。たまたま公民館の隣家だったので、釜の火の管理と釜出しの世話である。

 昨年も11月に公民館まつりがあって会員が作品を展示した。その展示会には備前焼作家のS先生も指導者として出品された。それはよいのだが、公民館まつりが終わってS先生の作品が見つからないのである。妻が確実に管理していた。失礼だが盗まれるような大作ではない。指導で作った作品である。完全に妻の病気がもたらした紛失であった。妻は対処方法も分からなかったので、私が事情を説明して謝罪した。先生は実費を受けとられただけであった。

 このころから、2週間に一度の土ひねりの会は、妻にとって負担になり始めていた。何度か失敗があって周囲も妻を世話役は無理だと認めてくれた。妻自身も世話役を降りて自由にやりたいと言い始めた。

 妻にあとは誰に頼むかと訊いたところ、Sさんだと言う。誰が考えても Sさんがよいと言う。それで私が Sさんに電話を入れて頼んだ、「みんなで話し合って決めます」という返事だったが、事実上受けてくださったと認識した。その後も Sさんは Fさんと一緒にしばしば隣家の拙宅を訪問された。

 死後のご挨拶も済ませていたが、先日、妻の遺作が公民館に残っていたのを持参され、今年の公民館まつりに出品したいとおっしゃった。平美と言い、土ひねりの会と言い、妻は本当に可愛がってもらったんだなあと思った。
  1. 2019/09/15(日) 11:23:27|
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