古本屋通信

増田明美さんの部活論

古本屋通信   No 2680    2017年  07月16日  


    増田明美さんの部活論

 きょうの赤旗に良質の記事が掲載されたので貼っておく。ウェブ化されないだろう。手打ちで転記する。予め私の記事評価を書いておく。頗る良い。増田明美さんといえばマラソン走者として記憶にあるが、私は彼女のファンだったことはないし、特に詳しいわけでもない。岡山出身の有森さんの記憶にも遥かに及ばない。なぜこうまで分かり易くて焦点の合った記事になるのか、不思議に思ったら、実は彼女は小説も書いていたんだ。この記事そのものは赤旗記者の勝又さんがまとめたものだ。しかし喋った内容が良かったから優れた記事になった。間違いない。以下、全文。


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  シリーズ 部活って
 「知好楽」 じゃなきゃあ スポーツジャーナリスト 増田明美さん

 部活動は人間性を育む「教育の一環」。文武両道が要。

スポーツジャーナリストの増田明美さんが考える部活とは? 自身の経験や思いを話してもらいました。

 テニス少女だった中学時代。野山を越える約5キロの道のりを、立ちこぎで速度を上げて自転車通学していました。「早くラケットを振りたい」。その一心で。へたっぴだったけど、部活が好きでたまりませんでした。

 壁との会話通して
 当時は空前のテニスブーム。部員が多くてコートに入りきれず、壁打ちばかり。「テニスが嫌いになっちゃう」と先生に打ち明けたら、「明美、壁にテニスを教えてもらえ」と助言してくれました。すると壁に表情が見えて、言葉まで聞こえてくるんです。「いいぞ」、「肩の力を抜いて」と。壁との会話を通して自分と向き合えるようになりました。
 この経験はのちに生きました。身の回りにあるものから何でも教えてもらおうと、どん欲で謙虚になれたのです。勝つためだけでない部活のおかげでした。

  練習しすぎた反動
 中学3年生で陸上を始めてからは、順位や記録が動機になりました。全盛期は高校時代。長距離に転向した3年生の時にトラック種目や10キロ、20キロの日本記録を塗り替えました。朝練の後の授業は眠かったけど、勉強もおろそかにしませんでしたよ。
 でも練習しすぎた反動で、実業団に入ってから燃え尽き症候群に。日本のスポーツ界はジュニア世代だと世界で強いのに、それを過ぎると通用しなくなる傾向があります。私もそんな一人だったのかもしれません。
 いま高校野球では一部の強豪校が「プロ野球の予備校」になっている気がします。県外から選手を集めて勝利至上主義に走り過ぎているような。部活動が人間性を育む「教育の一環」であることを忘れてはいけません。あくまでも文武両道が要です。

 先生のゆとり大事
 私の好きな言葉は、「知好楽(ちこうらく)」。「知っているだけの者は好きな者に及、ばない。好きな者は真に楽しむ者に及ばない」という意味です。
 私が中途棄権した1984年米ロサンゼルス五輪女子マラソンを振り返ると、「好」がなくて楽しむこともままなりませんでした。ですから、この言葉にときめきました。
 自分の競技人生を重ねて執筆した小説「カゼヲキル」は、駆けっこ大好き少女が10年かけてマラソン選手になる過程を描きました。
 挫折からはい上がる力、ライバルへの敬意、努力を続ける大切さ・・・。約2時間半も自分と向き合うマラソンは、そんな人間力が試されます。もがきつつも「知好楽」に目覚めて成長していく主人公の姿は、いまの中高生への応援歌でもあります。
 部活動のありかたをめぐっては、先生のゆとりも大事ですね。土日は大会の引率に追われて、手当てもでない。先生方の負担を減らすためにも、外部指導員の力をもっと借りてほしいと切に願います。 (聞き手 勝又秀人)
  1. 2017/07/16(日) 07:22:43|
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