古本屋通信

出版業界。取次を中心に

古本屋通信   No 2469    2017年  03月11日


   出版業界。取次を中心に。



 きのうキンピーサイトのブサヨ管理人が赤旗の「潮流」を取り上げて、「読者を舐めるのもたいがいにしないとね」と書いていた。同感だった。共産党界隈には自前の出版社(党出版局や新日本出版)と取次店(名前を失忘)があって、事情を知っていながら出鱈目な、耳障りのよいゴタクを並べるからだ。私もブサヨさんの尻馬に乗って一旦エントリーを立てたのだが、アホらしくなった中止した。そのときはキンピーサイトにコメントは付いていなかった。いま見ると何本かのコメントが付いており、古本屋通信の名前も出して下さっている。コメントは私の南スーダン関連の赤旗批判であり別件だが、その後に取次の太洋社の倒産も書かれてあった。で、改めて赤旗の「潮流」を批判する気になった。元エントリーにはブサヨ文を転載していたのだが、今回は赤旗「潮流」の全文だけを転載する。読者には、併せてキンピーサイト「日本共産党は自分の知る業界のことでもウソをつく」をお読み下さるように。



きょうの潮流  2017年3月10日(金)  赤旗
ワンコインランチとは? 500円ランチのことかと思いきや、コンビニで菓子パン一つかカップ麺の「100円ランチが当たり前」。こう訴えるのは出版産業で「取次」と呼ばれる問屋業で急増する非正規労働で働くAさんです▼時給が安すぎて、携帯電話もテレビも持てない。だから社会のことが全くわからないという同僚も。時給は1500円を掲げて春闘でたたかいたいと語る笑顔が救いです▼「非正規労働者の問題は出版界の構造を抜きに考えられないし、言論や表現の自由にかかわる」と出版労連出版研究室の橘田源二室長。出版産業は、各出版社が本や雑誌を出す↓いろんな本や雑誌を全国に運ぶ取次業者↓書店↓読者という流れ。利益は上から厚く、↓の下ほど薄いのです▼出版産業全体の売り上げは1996年がピーク、2兆6千億円でした。現在ピーク時より1兆円も売り上げが落ち込み、弱いところにしわ寄せがいくと橘田さん。街の書店は、新刊本や多彩な雑誌が入らず廃業がすすみ、アマゾンなど書籍通販の増大も重なり取次に非正規が急増しました▼本離れとネット志向が年々強まるなか、出版界の格差と貧困は、「将来的な文化にかかわる問題」。名だたる出版社の社長や書籍協会、雑誌協会の会員などによる懇談会でも議論が始まっています▼幼児期に接する童話は豊富なのに思春期から読む本が少ない。受験本はあっても、人間として文化的な感性を育てる本の貧しさ。どうするか、関係者の模索がつづきます。




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 元エントリーには色々書いていたのだが、今回は赤大文字のみ問題にする。先立って出版労連の橘田源二室長の名誉のために一言。こういう御都合主義的な引用だと白も黒になる。「潮流」子(赤旗記者)は自分の描いた結論にあうように他人を使うのは止めてほしい。だいたい「非正規労働者の問題は出版界の構造を抜きに考えられないし、言論や表現の自由にかかわる」などというのは、アバウトすぎて何ものをも表現していない。橘田室長がかなり丁寧に言ったであろうことを、たった一行でキレイゴトで要約できるわけがない。

 続く3行が出鱈目である。だいたい出版業界三者の取り分(正味)の多少など、三者の業界における何ごとをも表していないが、念のために其々の取り分を書いておこう。あくまで大まかな指標だが、出版社65、取次店12、書店23の百分比である。これは単なる売り上げ比率である。これだけでも「上から厚く、↓の下ほど薄いのです」など間違いだが、「利益」が出版社に「厚く、↓の下ほど薄い」など、アバウトでさえもない。よくもこんな出鱈目が書けるものだ。一発で赤旗記者クビである。たぶんブンヤさんはこういう出鱈目に慣れっこだから、何処からもお叱りを受けないのだろう。コレ言論の自殺であり犯罪なのだ。つまり以下に続くもっともらしいきれいごとの導入として書いている。

 どっかの業界紙誌か、さもなくば小田光雄ごとき売文ライターの口移しは止めたほうがよい。書くのなら、原資料(書籍協会資料、雑誌協会資料など)を読みこなしてから書け。だが赤旗記者にはそういう能力と余裕はないだろう。だったら書くな。だいたい新日本出版社の出版物を一瞥しただけで、出版社の利益が厚いなどと血迷った事が言えるわけがなかろう。

 取次労働者の非正規雇用比率は出版労働者のそれよりは高いだろう。しかし書店労働者と較べたらどうだろうか。つまりともに単純労働が多い。これは権利が保障されていないというより、若年労働の宿命であろう。因みに出版労連は取次労働者もカバーしている。今は知らぬが、昔は日販は労働組合が強かった。もちろん連合ではない。階級的労働組合の出版労連である。私は岡山東販と岡山日販に日参した時代があった。客注スリップで本を配達するのだ。懐かしいナア。

 キンピーサイトのコメントで太洋社の倒産をはじめて知った。もう二十年以上になるが中堅ちゅうけん取次の鈴木と栗田が潰れた。鈴木の倒産は全国の民主書店と大学生協に影響があった。岡山平和書房のメイン帳合は鈴木だった。一斉に全国の民主書店が潰れたのも鈴木の倒産が大きかっただろう。つまり中堅取次の存在は民主書店にとって欠かせなかった。言っちゃあ悪いが、今の岡山平和書房をトーハンと日販がマトモに相手にしてくれるわけがない。新刊配本がなく、注文品のみ応じてくれる。正味の条件は悪く、返品が効かない。これでは趣味の書店ならともかく、商売にならないであろう。本来は中(なか)取次のキクヤ図書販売が担当する規模である。だが零細書店が消える中で、キクヤ本体が小売り書店業界に名乗りを上げた。即ち喜久屋書店である。岡山にも進出したが瞬く間に撤退した。その店舗はジュンク堂に引き継がれたものの、ジュンク堂もやがて撤退する。紀伊国屋岡山店は形だけの店舗で、事実上広島一本化である。啓文社はあるが、事実上丸善の独走である。いやセブンネット販売が勝っているだろう。


 以下は私の洞察である。根拠はない。党出版局はもちろんのこと、新日本出版社は年間一億円以上の赤字だろう。粗利益の赤字ではない。純利益の赤字である。ではなぜ倒産しないか? 党が金を出しているからだ。それが悪いとはいわない。『前衛』や『経済』が売れるわけがなかろう。はじめから赤字覚悟だ。刊行費まるまる持ち出しである。全ての出版物が持ち出しである。損益分岐点(部数)をクリアーした出版物は皆無であろう。だから私は不破が印税で丸儲けとは思っていない。ではこれらの出版物を支えている金は何所から出ているのか? 赤旗に利益などない。党員の党費でもない。つまり党員の大口の寄付である。たぶん物故党員の遺産丸ごとの寄付である。いまの党はこれでもっている。後10年は持ちこたえられるだろう。それでオワリである。党を潰したくなかったら、たたかう党を再建することである。

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 きのう書きかけて止めた経緯を書いておく。八分目まで書いて連れ合いに声を懸けた。私「おいアンタ、新聞のコラムを読むんか、天声人語とか潮流とか?」 連れ合い「ああ読むよ」 それを聞いた私の表情が馬鹿にしきっているように見えたのだろう。連れ合い「あんた、偉そうしなさんな。自分を何サマだと思うとるんか。私だって無批判に読んでいない。それを何が何でも小馬鹿にした態度は許せん。そういうブログなら書きなさんな」。私は納得したわけではないが、ケチが付いたから止めた。

 私はコラムと、社説と、投書欄は読まない。とくに「潮流」を馬鹿にしているわけではないが、天声人語を愛読している人物とはつきあう気にはなれない。アホ扱いである。そういう思いは顔に出るだろう。天声人語のどこが駄目か。つまり朝日の想定した読者レヴェルにトコトン媚びて、しかも体制にとっての安全地帯からきれいごとを書くのだ。コラムとは典型的な商品言語である。コラムニストとは有閑マダムの謂いである。この欺瞞に何も感じないのは知識人ではない。「潮流」も同じである。


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  もうひとつ小田光雄の名前を咄嗟に出したので。

 私は10年以上前に小田の 『出版社と書店はいかにして消えていくかー近代出版流通システムの終焉』 (ぱる出版) なる一冊を読んで、彼が商売人だと思った。別に商売人でも素人向けには構わないが、第一義的には出版業界に寄生する寄生虫だから八方美人である。つまりアレコレ書くが、言論が商品だから、現実を撃つことはありえない。素人が納得するのにはちょうど手ごろな本だろ。いま検索したら、多数の同類本を上梓していた。商売でなければ一冊でよいだろう。しょせんペテン師である。むかしからこういう輩はいた。たとえば紀田順一郎とか、古本では、まあ名前は遠慮しておこう。断言する。ヒマ潰し以上に読むべきものではない。
  1. 2017/03/11(土) 06:10:46|
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