古本屋通信

こういう手記本をどう見るか

古本屋通信   No 2443    2017年  02月23日


  古本屋の仕事ーーこういう手記本をどう見るか


  先ほど、今回の事件関連でネットサーフィン中に、朝日デジタルに以下の記事があった。手記本そのものではなく、手記本を上梓した後のインタビューだが、これを読むと本自体の内容も凡そ想像がつく。私は古本屋である。新刊書であれ、古本であれ、本の性格は真贋も含めて正確に判定するのが商売である。何処かの書評子のように、媒体から原稿料を貰って書くのとは訳が違う。まあ右に出る者はいまい。




 母は身代わりにレイプされた 22歳の脱北女性が手記
  2016年3月25日05時04分  朝日新聞デジタル
  写真・図版  パク・ヨンミさん=天田充佳撮影
 13歳で脱北し、中国での想像を絶する体験を語り、人権活動家となったパク・ヨンミさんが、注目を集めています。自伝的な手記「生きるための選択(原題:IN ORDER TO LIVE)」は米国をはじめ世界20カ国で出版されました。

 パク・ヨンミさんは1993年10月、北朝鮮北部の恵山(ヘサン)生まれです。幼い頃は比較的裕福な暮らしをしていましたが、9歳の時、父親が禁じられた金属の横流しをしたかどで逮捕され、生活が一転。13歳のとき、母親とともに鴨緑江を渡って中国に脱出しました。その後の中国での長い潜伏生活と、ゴビ砂漠を抜けてモンゴルに到達、韓国にたどり着いて懸命に勉強し大学に進むまでの半生を自伝「生きるための選択」にまとめ、日本語版の「生きるための選択」(辰巳出版)の出版にあわせて来日もしました。パク・ヨンミさんに自身の半生や北朝鮮の人権について聞いたインタビューをお伝えします。

 ――本を執筆するきっかけは何だったでしょうか。

 2014年10月、アイルランドのダブリンで開かれた国際会議「ワン・ヤング・ワールド・サミット」で、自分の体験を大勢の人の前で話したことがきっかけです。私はアフリカに何カ国があるか知らず、イスラム教徒にも会ったことがなかったのですが、世界各地から集まった人たちが国や宗教の違いを超え、北朝鮮の実情に関心を持ってくれました。それまで人間に対する不信がありましたが、信用していいんだ、という気持ちになりました。ダブリンのスピーチから1カ月もしないうちに、出版社から声をかけられたこともあり、手記を書き始めました。

 ――幼い頃の経験も詳しく書かれていますね。

 幼い頃のことや、恐怖からトラウマになって記憶が切れているところは、母が協力してくれました。ある意味では、この本の何割かは母の思い出話です。ゴビ砂漠を一緒に歩いてモンゴルに逃れた脱北者や、故郷の同級生で脱北した友人も協力してくれました。忘れていたこともずいぶんあったので、彼女たちが協力してくれなかったら、ここまで書けなかった。私一人のものではなく、みんなの努力の産物です。

■「母は勇気を持っている人」

 ――北朝鮮を脱出した後、中国ではブローカーに人身売買された経験も書いています。母が自分の身代わりになってレイプされるなどの衝撃的な内容もつづっていますね。

 今でも13歳まで暮らした北朝鮮や、中国での2年間の潜伏生活が夢に出てくることがあります。何かから逃れようと泣きながら走り、でも、決してゴールにたどり着かないといった夢です。正直言って、今も当時のことを思い出すのは怖いです。しかし、ダブリンのスピーチをきっかけに人権活動家としての意識が強くなり、隠してきた秘密を明かすことを決心しました。プライバシーだから、と隠すのではなく、真実をさらさないといけない。もう嫌だ、これ以上書けない、と行き詰まったときは、母に「声を持たない人のために誰が語ることができるの。あなたしかいないでしょ」と励まされました。今考えても、こういう機会をいただいてよかったと思います。母は勇気を持っている人です。

 ――過酷な体験の連続だった半生で、誰かを恨む気持ちはありますか。

 人間なので恨み、憎しみの気持ちはあります。北朝鮮の人々は、生まれた時点でアンフェアです。川(中朝国境の鴨緑江)一つ隔てただけで、それ以外の世界に生きる人々と人生がまるで違う。間違った場所に生まれた、ばかなという気持ちが私にもありました。でも、時間はかかりましたが、いまはすべてを受け入れようとしています。人生はアンフェアだけど、その人生を抱きしめて歩むしかないと。北朝鮮で生まれたこと、北朝鮮から脱出したこと、その両方があって、今の私があります。もし平穏な人生と交換できるとしても、交換しようと思わなくなりました。

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   古本屋通信

  以下で上記の書評を書くが、その前に私は上の文を1分も読んでいない。まずその辺の事から書こう。

 一昨日ダンボール10箱ほど古本が入って、1万円支払った。片付けである。ダンボールを開いた瞬間にハズレだと分かったが、ハズレでも代金は支払う。でないと2度と持ち込んで貰えないからだ。

 その日の夜までに整理した。古書として有効なのは 『津山市史』 の2冊のみだった。あと比較的新しい、バーコードのある雑本が100冊ほどあった。これは近々ブックオフに売りに行く。単価 5円~50円で合計2500円くらいだろう。大損である。それは仕方がないのだが、取捨選択の過程について一寸書いておく。きたない本、古い本でも、私は良い本は保存する。売れなくても捨てない。当日入手した本と雑誌には資格試験のテキスト類が多くあった。これは無条件に捨てるが、悪い本ではない。一生懸命勉強した本である。それとハウツー本がいくらかあった。これは学習参考書と家庭医学の本も含む。ところが、それ以外の雑本が約200冊あった。それに就いて書きたい。

 発見した雑本は全てゴミである。きれいな本はブックオフに売るがそれ以外は全て捨てる。ゴミ本を識別するのに1秒と懸からない。瞬時に分かる。別に古本屋の経験は要らないが、本の性格を見極める能力は必要である。

  出版人にとっては自明だが、一冊の本はふつう商品としてのみ定立する。ここでは自費本は除外しておく。商品として定立する商業本は言うまでもなく売れなければならない。すると商業本は売れるように作らなければならない。いや売れるように書かなければならない。そうは言っても、自分の好きなように書く者はいるだろう。その場合は、編集者が書き直させて売れる本に変える。つまり殆どの雑本は著者のありのまま、いわば実存・表現の結果ではない。作為的にデッチアゲられた本である。こういう本を私はゴミ本と呼んで、瞬時に捨てる。

 まあ昨日の作業中に思ったことは、人間はこういう本は読まないほうがよい、読めば読むだけ阿呆になるだろうということだった。

 上記の本 「22歳の脱北女性の手記」 完全にゴミ である。以上に書いたことで尽きるのだが、以下は念のための蛇足である。

 脱北本は例外なく無効である。かつての金ヒョンヒ本が無効であったように。日本でも腐るほど出版されているが全てゴミである。私は読んだ事がないどころか、一瞥もくれていない。これは南北朝鮮の支持問題とはまったく別である。要はどの地点に立って、何について発信しているかだ。「韓国」とアメリカの地点たって、共和国と中国について批判している。子供でも分かるが、それが分からない大人がいる。アメリカの傀儡政権の比護下で保証される表現の自由に自主性を認めるのは、余程の低脳か、さもなくば帝国主義の第五列であろう。
 私はソルジェニツイーンを文学者とは思わない。理由は要らないだろう。上記の女性の本について言えば、「母は身代わりにレイプされた」という表題に全てが集約されている。こういう下品な表題で売ろうとする魂胆は卑しい。体験がウソだとは言わない。メディアに登場した時点でオワッテいる。街の古本屋に限らず、マトモな判断力を持った大人は見向きもしない。

  付記
 
せっかくだから上記の朝日の記事を再読した。たちどころにウソっぽい作為的記述が数箇所見つかった。時間のムダだから一々指摘しなが、ウソを見ぬく批判力を身につけるには、まともな社会科学の本を読むことが欠かせない。マルクスでなくてもよい。ウェーバーや丸山真男のような近代主義者でも構わない、要はラディカルな批評精神を兼ね備えた書物だ。独学でもよいのだが、まともな大学に進んで、まともな指導者につくことも意味があることだ。その点で私は学歴も大切だと思う。
  1. 2017/02/23(木) 10:25:25|
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