古本屋通信

私の古本屋、年末と年始

古本屋通信    No 2363   2017年  01月05日


      私の古本屋、年末と年始

 多少は商売のことも書かねばと思う。3年前まで、暮れと正月は田舎で過ごさねばならなかった。老母がいたからである。然しここ2年はすっかりフリーになった。今年は店の倉庫で本の整理に集中した。暑い時には出来ない作業なのだ。ちっぽけな店舗と倉庫の両方で僅か10坪なのだが、そこに3万冊あった。それを1年懸けて2万冊にした。1万冊捨てたのである。この暮れと正月に放出したのは100束の1500冊だった。これをきのう業者さんに持ち帰って貰った。私は本をツブスのが苦手なのだ。つまり売れない本に未練がましいのである。

  先ほど明誠学院高校のK先生に5000円ほど買ってもらった。うち、邑久郡史(上下)が先生の目に留まった。郷土史誌は値崩れしている。この本は日本の古本屋に出品がなかったが、まあ相場は2万円だろう。先生は1セット持っているが、正月だから安ければ買ってもよいと仰る。では如何ほど? (中途は省略) 結局3000円で手打ちとなった。読者はどうお感じになるか知らないが、こんなものなのだ。双方がこの業界の実情を知っていれば、妥当な額だったろう。

  次に別件である。せんじつ珍しい郷土史が一冊入った。多くの雑本や古写真と一緒に数万円で買い受けた中に、廣戸村誌という郷土本があった。今は廃村になった岡山県北の村の史書である。県立図書館にはあるが、通販サイトにも、他の図書館にもない。私もはじめて見た。先ほど同業のY氏に声を掛けた。私は5000円の売値を付けた。Y氏はもう少し出してもよいといった。しかし自分から言い出した値を変えることはできないから、5000円で決まった。いくら売価を付けるかはY氏の勝手である。

  とにかく売れない時代なのだ。よく値崩れ、値崩れと言う。しかしこれは正確ではない。例えばここに一冊の本がある。それを谷口澄夫著『岡山藩政史の研究』としようか。20年前、私は岡山の交換会に出品して13000円で売ったことがある。いまいくらで落札されるか知らないが、たぶん5000円以内だろう。これは安いというより欲しい業者がいないのだ。みんな在庫を持っている。だから1000円でも買いたくない。けどそれでは交換会が成立しないから、長老が無理して引き取るのだ。現に私の所に個人から持ち込みがあったら私は断るだろう。どうしてもと言われば1000円買取りである。では郷土史誌が入庫がないかといえば、そんなことはない。一切合財の買い受けである。一品あたりでは安く買える。しかし損をすることもある。

  私などは端から貧乏古本屋だからお呼びでないが、岡山にも東京の大市で大量に仕入れる同業者は何人かいる。目鼻も効くが、度胸もいるし金もなければならない。一回行けば最低100万はいるだろう。販路があっての仕入れである。逃げるが勝ちの年末と正月の数日間だった。
  1. 2017/01/05(木) 14:58:02|
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