古本屋通信

18歳選挙権を支持する

古本屋通信    No 1483   6月18日

   十八歳選挙権の国会決議を支持する


  選挙権年齢を18歳以上に引き下げる公職選挙法改定案が昨日参院本会議で可決された。全会一致だった。古本屋通信はこの国会決議を支持する。多くの新聞報道を紹介する必要はなかろう。先ほどアップされた赤旗のウェブ記事を貼る。その後に私が先日文字入力した坂井希さんの文章を再録する。




 2015年6月18日(木)  赤旗日刊紙
18歳選挙権 成立  全会一致 来夏参院選に適用へ
 選挙権年齢を「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げる公職選挙法改定が17日、参院本会議で全会一致で可決され、成立しました。選挙権年齢の見直しは「25歳以上」から「20歳以上」に引き下げられた1945年以来で、70年ぶりとなります。
 18歳選挙権は公布1年後から施行。国政選挙では来夏の参院選から適用される見通しで、約240万人が新たな有権者になります。
 日本共産党は党創立以来18歳選挙権実現を掲げてきました。今回の法案審議では「さらに幅広い民意が議会に反映されることは、議会制民主主義の発展につながる」との立場を示し、賛成しました。
 一方で、同改定は2007年制定の「改憲手続き法」で、改憲のための国民投票の投票権年齢を18歳としたことに端を発したものです。日本共産党は改憲勢力が18歳選挙権実現を改憲への道筋と位置づけていることを厳しく批判してきました。




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  再録


  古本屋通信     No 1409   4月28日

  
坂井希さんの文を貼りました。

 まえがき
 通信 No1406で、坂井希さんの 「月刊学習」 所収文のことを書き掛けましたが、平和書房が閉まっていて先延ばしになっていました。いま入手したので再開します。私の下手な感想文など止めにして、坂井さんの全文を文字入力します。これはたぶん近々には、私のブログ以外では、パソコンで読めないでしょう。万一 「月刊学習」 編集部から (雑誌の売り上げが減ると) クレームが付けば削除しますが、まあその心配はないと思います。
 尚、今回の転載は単に資料として貼るのではなく、古本屋通信は全面的に賛意を表明するものです。ただし拙ブログの文が如何なる文脈において利用されようと、心から歓迎します。まあ、コピーをって坂井文を 「拡大」 して欲しいものです(古本屋通信)。





  「十八歳選挙権」 の実現を一貫して目指してきた党

        日本共産党中央委員会政策委員会   坂井 希


 選挙権年齢を 「二十歳以上」 から 「十八歳以上」 に引き下げる公職選挙法改定案が、自民、民主、維新、公明、次世代、生活の与野党六党によって、今国会に提出されています。志位委員長は、日本共産党は 「十八歳選挙権は必要という立場だが、今度の法案の動機は 『憲法改定のための国民投票をするため』 と大変悪い。審議の中で、問題をきちんとただした上で (法案への) 態度を決めたい」 (三月五日) と表明しています。昨年成立した改定改憲手続き法は、憲法改定の国民投票の投票年齢を 「十八歳以上」 としましたが、それを実施する上で公選法の選挙権年齢も 「十八歳以上」 に引き下げるとしています。今回の公選法改定案は、この改憲手続き法とリンクしています。
 本稿執筆の時点では国会での審議が始まっておらず、法案への態度は決まっていません。それを前提に、十八歳選挙権に対する日本共産党の基本的な立場について述べたいと思います。



  戦前から先駆的に掲げ続けた

 日本共産党は九十二年前、党創立の直後から、国民主権と 「十八歳以上のすべての男女にたいする普通選挙権 (綱領草案、一九二二年) を掲げてきました。
 当時の日本は天皇絶対の専制政治体制であり、立法権、行政権、司法権も、国を統治する権限はすべて天皇が握っていました。「帝国議会」、「国務大臣」、「裁判所」 は設けられてはいましたが、天皇を助ける 「協賛」 機関にすぎず、その権限は限られたものでした。女性は法的には 「無能力者」 とされ、人権も自由も認められておらず、抑圧されていました。
 「帝国議会」 (一八八九年設置) の貴族院の議員は天皇の任命、衆議院の議員は男性高額納税者による選挙 (制限選挙) で選ばれていました。納税額による選挙権の制限をなくす 「普通選挙権」 の実現は一九二五年。天皇制政府は、労働者や小作農民が選挙に参加することになるので、国民弾圧のための 「治安維持法」 を同時に制定しました。この [普選法」 でも、女性と二十五歳未満の青年はしめだされていました。
 日本共産党が主権在民の民主主義日本を実現する展望とあわせて、「十八歳以上のすべての男女」 の選挙権を求めたことは、きわめて先駆的でした。女性に対する不当な差別をなくし、政治的にも男女同権を実現すること、そして、徴兵制によって兵役を課せられていた青年を含め、十八歳以上の全ての人に選挙権を保障することは、青年を政治と社会の大事な担い手として遇するものでした。十八歳選挙権は、青年の自由と生存の保障、民主的権利の確立のための民主主義日本実現のたたかいのなかで、中心的要求でした。
 戦後も、日本共産党は 「日本共産党憲法草案」 (一九四六年) に選挙権・被選挙権が 「十八歳以上のすべての男女に与えられる」 (第四十七条) と明記し、一貫してこの主張を掲げ続けました。一九七六年に採択した 「自由と民主主義の宣言」 で 「十八歳以上のすべての男女に選挙権を与える」 としたのをはじめ、党綱領にも第十七回党大会 (一九八五年) の一部改定で 「十八歳選挙権を実現させる」 と盛り込みました。第二十三回 党大会 (二〇〇四年) で決定された現綱領には、「日本社会が必要とする民主的改革」 の [憲法と民主主義の分野] の三項に、「十八歳選挙権を実現する」と明記されています。



  日本社会の 「十八歳」 の現実から見ても当然

 十八歳選挙権を実現は、日本社会 の現実から見ても当然の方向です。
 日本の十八歳には、すでにさまざまの分野で、社会的権利や義務があります。
 労働基準法では、十八歳未満の「年少者」を、深夜業、危険有害業務、坑内労働につかせることが制限されていますが、十八歳になれば、こうした保護の対象から外されます。勤労していれば、当然、所得税納税の義務も負っています。
 男女とも婚姻が可能となるのは十八歳です。一人で契約や財産管理・処分などの法律行為を行うことができます。自動車の普通運転免許も十八歳から取得できます。児童福祉法、児童虐待防止法、児童買春・ポルノ禁止法などの 「児童」 は、「十八歳未満の者」 です。
 このように、労働や婚姻など広い分野で社会的権利が与えられ、義務も負ってうるのに、「政治に参加する権利」が保障されていないのは不合理です。
 さらに言えば、政党のレベルでは十八歳以上を入党の要件としているところがどほとんどです。日本共産党、自民党、民主党、公明党、社民党、維新の党は十八歳から入党できます。これらの党は、十八歳に達した青年が、政治活動に参加するにふさわしい資格と能力をもっていることを認めているのです。
 こうした政党の状況から考えてみても、「十八歳に選挙権を与えるのは早すぎる」 という議論は成り立ちません。



  十八歳選挙権は世界の大勢

 十八歳選挙権は世界の大勢です。世界百九十八の国・地域のうちの約九割、百七十六の国・地域で十八歳 (一部は十六、十七歳) 選挙権が実現しています (二〇一四年、国立国会図書館調べ)。サミット八ヵ国中、十八歳選挙権でないのは日本だけです。 
 欧米では、一九六〇~七〇年代に学生のベトナム戦争反対や学園民主化を求めるたたかいが広がり、そのなかで十八歳選挙権を求める運動がわきおこりました。その結果、イギリス(一九六九年)、西ドイツ(一九七〇年)、アメリカ(一九七一年)、フランス(一九七四年)、イタリア(一九七四年) などで十八歳選挙権が次々と実現しました。
 イギリスでは 「肉体的にも早く成熟し・・・・・・大人としての社会的責任を負っている」、「教育も昔より進んでおり、知識も豊富になっている」、「若い者に参政権を与えることは、政治に活気を与え、新しい考え方を吹き込む」、「若い者に『参加』の感覚を植えつけるのに大いに役立つ」、「社会的に大人並みの責任を負わなければならないのに、これに選挙権を与えないのは不均衡」 などの観点が審議・検討され、選挙権年齢が十八歳に引き下げられました。
 アメリカでは、「今日の十八歳の青年は・・・・・・・選挙権の責任ある行使に必要な人格の成熟、判断力、着実性を持っている」、「早くから市民としての責任感が養成され、それにより青年の広汎な社会的、政治的参加が推進される」、「兵役の義務を負い、職業に従事し、結婚ができ・・・・・その実質及び責任において投票する権利に比すべき色々な権利義務が既に我々の社会において与えられている」、「選挙民の全体的な質が改善され、われわれの社会がよりよく代表されるようになる」 という議論から、選挙権年齢が十八歳に引き下げられました。
 フランスでは、「第二次世界大戦後の国力の伸展・経済の発展に伴い、いくつかの法領域で成年年齢がすでに引き下げられていた」、「当時の若年者も成熟度の増大、中東・高等教育の普及、各種メディアによるあらゆる種類の情報の多様化・多量化」 などが選挙権年齢引き下げの目的・根拠としてあげられ、実現しました。
 このように欧米では、教育水準も高く、判断力もあり、すでに社会的な義務を負っていることなどから選挙権年齢の引き下げを当然としました。日本と同様、二十歳選挙権だった韓国でも、「青少年の自然的な精神能力の向上や早熟現象」、「成年擬制や婚姻年齢等の法制度及び急激に変化している社会・経済の現実を考慮」し、二〇〇五年から十九歳に選挙権年齢が引き下げられています(韓国では民法の成年年齢は二十歳のまま)。
 日本の十八歳もすでに多くの権利と責任を負い、マスコミの発達もあり豊富な政治情報をもっています。諸外国の青年と比べて格段に劣っているとは言えないでしょう。

※参考=①法制審議会民法成年年齢部会第七回会議(二〇〇八年九月九日)参考資料19「諸外国における成年年齢等の調査結果」、②国立国会図書館調査及び立法考査局『主要国の各種法定年齢』(二〇〇八年)




  高校生が選挙に行く時代に

  十八歳選挙権が実現すれば、誕生日を迎えた高校三年生は選挙権を得ることになります。これに関わって、文部省初等中等局長が一九六九年に出した通達 「高等学校における政治的教養と政治的活動について」 は、すみやかに撤回すべきです。
 一九六〇年代当時、青年・学生の運動の高揚のなかで、世界では前述したように、十八歳選挙権が次々と実現して行きました。一方、日本政府は、一部の学生による「暴力的な政治活動や授業妨害・学校封鎖への対処」 を名目に、青年・学生運動の押さえ込みをはかりました。通達はそのために出されたもので、その中には 「生徒の政治活動を禁止」 すると明記されています。
 時代背景が大きくかわったのちも、この通達を根拠に、「埼玉県の航行の図書委員の生徒たちが 『子どもの権利条約』 を語る三校交流会を計画したところ、会場を希望された学校が使用を拒否」(一九九一年)、「フランスの核実験に反対する署名活動を文化祭で行おうとした兵庫県の高校生徒会の計画が、『教育の場で高校生が政治的に行動するのは問題が多い』 という学校の判断で中止」(一九九五年) など、高校生の自主的な活動が抑圧されてきました。
 通達は、「政治的活動」 を禁じる根拠として、「選挙権等の参政権が与えられていないことなどからも明らかであるように、国家・社会としては未成年者が政治的活動を行なうことを期待していないし、むしろ行なわないことを要請しているともいえること」をあげています。この言い分自体、憲法や「子どもの権利条約」で保障された高校生の「表現の自由」「意見表明権」を侵害するもので不当ですが、十八歳から選挙権を得ることになれば、この通達の前提自体がかわってきます。時代にいよいよそぐわないこの通達は、撤回されるべきでしょう。
 宮本岳志衆院議員の調べによると、大学でも、「学生は、学内において政治活動をしてはならない」(北海道・私学)、「学内での政治活動、宗教活動は理由を問わず認められません」(埼玉県・私学)のように、「学生生活規程」 などで 「政治活動の禁止」 を明示している例が見られます。
 若者の投票率の低さが問題視されますが、高校生や大学生が政治に関わることをタブー視するような風潮をつくっておいて、二十歳になったらいきなり 「選挙に行け」 と言うのは、あまりに乱暴な話ではないでしょうか。
 「若者は政治にうとい。十八歳選挙権を実現しても棄権が増えるだけではないか」といった懐疑の声も聞かれます。しかし、むしろ十八歳選挙権を実現をてこにして、若い世代が主権者として国や地方の政治に主体的に関わり、「国の主人公は自分たち」 という感覚を育てていけるよう、学校教育や社会のあり方を見直していくことが求められていると思います。



  未来に生きる若者のためにも

 ちょうど本稿の執筆時、『サンデー毎日』 (二〇一五年四月五日号)の「東大合格者アンケート特集」が話題となりました。「安倍政権にひと言」という項目への回答に、「戦争前夜くらいの雰囲気がして不快。戦争で死にたくないし、人も殺したくない」「日本国憲法九条は地球の宝、改正はやめた方がよい」「TPP反対」「反対意見を初めから除外して議論する姿勢は良くない」などの違憲が並んでいるのです。
 厳しい受験戦争に励みつつも、安倍政権の暴走に不安を感じていたのでしょう。晴れて合格したいま、政権批判の声を堂々とあげる十八歳、十九歳の姿を頼もしく感じました。
 十八歳選挙権の実現が、「改憲の地ならし」にすることをねらう勢力の思惑を乗り越え、未来に生きる若者のエネルギーをおおいに引き出し、平和で民主的な日本を築いていく力となることを願うものです。               (さかい のぞみ)
  1. 2015/06/18(木) 12:24:01|
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