古本屋通信

番外 文学の館

古本屋通信      番外      文学の館
       


        小説 少年と犬       江口渙


  恭一は今日も亦門口から大声に犬の名を呼びながら入つてきた。
 何時も門口に中学から帰つてくる恭一を待ち受けては、飛び付くほどに歓び迎へる筈の犬が見えない。彼は淡い失望を感じながら、土蔵造りの勝手口の重い大戸を開けて台所の大土間に入つて、薪や、?ほだ(木偏に骨)や、炭俵などを堆高く積んだ間を通りぬけて、中庭へ出た。
  1. 2015/05/20(水) 17:41:26|
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