古本屋通信

古本屋の構想

古本屋通信     No 1003  8月21日

   古本屋の構想


 この稿は「古本のターミナル 4」 に当たるものだが、考えてるみるとターミナルというのは閉店の準備という趣がないでもない。そうには違いないけれど、当面閉店する予定はないのだから、これは誤解を生むだろう。それでタイトルを「古本屋の構想」 とした。私のこれからの古本屋のアレコレである。

 抽象的な理念や理想を語る歳ではない。具体的に書きたい。昨日大型本をハイエース一車分処分した。そのとき第2次処分として、倉庫の郷土史誌を一括30万円で売る腹を固めた。これは内定済みだから同業の吉冨さんが取りに来てくれるだろう。

 で、早朝店に来て考えた。いっそのこと店の郷土史誌本も全て片付けてはどうだろうか? よし、きめた。売り払おう

 その具体的手順はこうである。先ず吉冨さんに見に来て貰う。こっちで売値50万円の条件をつける。これはイエスかノーの2者選択だ。イエスなら彼に売る。ノーなら9月の交換会に出品する。値は複数の同業者がセリで決めてくれる。それでよい。たぶんソコソコ50万前後で落札されるだろう。代行出品の手数料は必要だが、成り行きに任せると言う意味で気が楽だ。この辺は吉冨さんも知り尽くしている。どうせセリになったら、長山書店さん、不死鳥BOOKSさん、それに一博堂書店さん、赤木書店さんらの競合だ。私の面倒はまるで掛からない。

 
 これで店の棚はスッキリするだろう。昔から古書店の棚の特等席は郷土史誌本と決まっていた。私はこれに抵抗があったが、いつしか自分の店もそうなってしまった。これを今回十年ぶりに改めよう。私の専門領域は社会科学と人文科学である。文学だってやる。当面、特等席の棚には哲学書を並べたい。メインは10年前に一博堂セルバ店から一括購入した故土岐邦夫教授(元岡大教授)の哲学書を据える。晩年ではなく生涯アルコール依存症だった。カントの専門家で、京大系列の野田又夫の直弟子である。『純粋理性批判』の序論とも言うべき「プロレゴメナ」を翻訳している。私は「プロレゴメナ」 の哲学演習で土岐教授から「キミ、ドイツ語なかなかできるじゃないか」と褒められて嬉しかった。その土岐先生の遺品とも言うべき旧蔵書を一博堂セルバ店の棚で見つけたときはビックリして跳び上がった。約30冊の研究書だったが一括購入した。6万円だったろう。失礼ながら一博堂セルバはこの日の単日売上6万円は更新していないと思う。


  1. 2014/08/21(木) 05:59:43|
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