古本屋通信

放射能に負けない体

古本屋通信    No 986  8月9日


  『内科医が教える 放射能に負けない体の作り方』 



 福島の事故から半年後一冊の新書が光文社から発行された。著者の名前は土井里紗。若手どころか、ほやほやの新米女医である。岡山市京山中学から広大附福山高校を経て愛媛大学医学部を卒業して医師になった。二年間の研修医時代を岡山済生会病院で過ごすことになる。そのご東京の病院に就職した。

 私の古本屋は岡山済生会病院と至近距離にある。土井里紗は研修医時代に何回か私の店に来た。多くはなかったけれど、それでも十回くらいは来ただろうか。ほんの数分のこともあったし、一時間くらいのこともあった。本を買った記憶はないが、よく話をした。私にとって若い女医は珍しかった。彼女にとっては休憩場所というより憂さ晴らしの場所だったようだ。それほど研修医の労働はキツかった。

 土井里紗の縁でその母親も二度ばかり店に来た。父親はまだ県の公務員だったが、やはり一度店に来た。母親とは長時間話した。父親とは短時間話した。いずれも本の話が多かった。それと娘の話と。

 土井里紗は岡山を去るとき何も言わなかった。別れを言うような関係ではなかったからだ。ただ半年経ったころインターネットで調べたら、新しい職場とその環境がヒットした。それだけでなく個人の周辺情報まで出た。

 土井が東京に行って2年後に福島の原発事故があった。光文社新書が出たのはその半年後だった。余りにも早い出版である。その後も彼女は毎年のように本を出している。言い忘れたが彼女はブログを上京直後に立ち上げている。

 私はその後会ったことは一度もないが、ずっとインターネットで彼女を追った。ストーカー趣味ではない。どういう医者になるか心配だったのだ。不安は適中した。

 私には彼女に対する否定的評価は何もない。医学知識がゼロだから。ただ、彼女の本についてのアマゾンレビューは多い。ここには絶賛と酷評の二極評価がある。絶賛は全てヤラセだと思う。酷評が正解である。これは古本屋のテリトリーだから、私は自信をもって言う。

 
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  書評

  50を過ぎて気がついた  ~♪(はあ)絶対に諦めない 
「ひねくれじじい」の悪戦苦闘人生日記
2011年09月04日(日) 00時43分25秒

 これだけは許せない! 『内科医が教える 放射能に負けない体の作り方』

昨日、大阪ビジネス街の大きな本屋さんで見つけた一冊の本!
内科医が教える 放射能に負けない体の作り方 (光文社新書)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/images/4334036376/ref=dp_image_0?ie=UTF8&n=465392&s=books
別に放射能関係の本を探していたわけではなく、
私は、新書が結構好きなので、面白そうな新刊が出ていないかあと、
新書の棚を眺めながら歩いていたときに目に飛び込んできたのが表題の一冊。
ん、ん、ん(><)
どういうこと?どういう意味?
いったいこの本何?
思わず、ちょっ、ちょっ、ちょっ、待てよ!
って、キムタクしそうになった。
ほ、ほ、放射能に負けない体を作る?
内科医が教える?
いったいいつそんな画期的な方法が開発されたんだ?
テレビでも言ってないし、新聞にも書いてなかったぞ!
いったいどんなことが書いてあるのか、思わず本に手が伸びた。

◎ 概 要
放射性物質から全身の細胞を守る!
食事・生活のコツ
カギは「抗酸化」

◎ 内 容
福島第一原発の事故による放射能汚染。
次々に明るみに出る事実により、脅威は薄れるどころか、
日増しに高まっているように感じられます。
忘れてはならないのは、住み慣れた土地を離れられない私たちの戦いは、
今後何十年という単位で続くということ。
特に一般の人々がさらされているのは、内部被曝の危険です。
放射線に負けない体を作る方法はあります。
そしてそれは生活習慣病、がん、アレルギーなど、現代人の多くの病気や、
老化に負けない体を作ることにつながります。
放射線障害を含むこれらの病気には、活性酸素という体のサビが関与しており、
発症や悪化には、食や生活習慣が大きく関わるからです。
また重金属や化学物質などの有害物質を除去する方法で、
放射性物質を取り除くこともできます。
本書では、すぐに実践できる具体的な放射線対策に加え、
多くの病気対策にも通じる食事法や栄養療法、生活習慣、
デトックス(解毒)法を紹介します。

◎ 目 次
はじめに
1章 なぜ、放射線が身体を蝕むのか
2章 アンチエイジングと放射能防御の考え方は同じ
3章 これから10年、20年と正しい食事で放射線の害を予防する
4章 サプリと栄養素で放射線に負けない抗酸化力アップ!
5章 自分でできるデトックスと免疫力アップ
おわりに

◎ 著者プロフィール
土井里紗(どいりさ)
1980年岡山県生まれ。
広島大学附属福山高校を経て、愛媛大学医学部医学科卒。
新宿・京王プラザホテル内プラザ30階クリニック副院長。
内科医。日本内科学会、日本糖尿病学会、日本抗加齢医学会所属。
栄養学、東洋医学、抗加齢医学などを取り入れた幅広い診療を行う。
著書に『30代からのシンプル・ダイエット』(マガジンハウス)、
『食べても食べても太らない食べかた』(日東書院)、
『なぜ、あの人はいつまでも美しいのか?』(共同監修・中経出版)などがある。


タイトルで、人を惹きつけたいのはわかる。
これだけ本が売れないご時世だから。
しかし、やっていいことといけないことがあるだろうに。
まあ、この本だけじゃなく、本だけに限らず、
こんないい加減な、おおよそ科学とは言えない
著者の勝手な思い込みや思想をいかにも客観的な科学的裏付けが
あるかのように喧伝するものは世にあふれているけれど、
「放射能汚染」や「放射能の内部被曝」について
これはないだろう!!!!!
出版社の「光文社」も著者の「土井里紗」さんも
こんなタイトルの本を出すことに一片の躊躇もなかったのか?
出版社も、著者も、以下の本を読んでから書いたのか?

50を過ぎて気がついた~♪(はあ)絶対に諦めない「ひねくれじじい」の悪戦苦闘人生日記-原発のウソ (扶桑社新書) [新書]
原発のウソ (扶桑社新書) [新書]
50を過ぎて気がついた~♪(はあ)絶対に諦めない「ひねくれじじい」の悪戦苦闘人生日記-原発はいらない (幻冬舎ルネッサンス新書 こ-3-1)
原発はいらない (幻冬舎ルネッサンス新書)

50を過ぎて気がついた~♪(はあ)絶対に諦めない「ひねくれじじい」の悪戦苦闘人生日記-朽ちていった命―被曝治療83日間の記録 (新潮文庫)
朽ちていった命―被曝治療83日間の記録 (新潮文庫)

僕は、京大助教の小出裕章さん著の2冊を読んだ。
原子力反対の立場で、原子力一筋に研究を続けてきた方の本は、
何も分からなかった僕には衝撃だった。
放射能に被曝することの恐ろしさを初めて知った。
その中で、紹介されていたのが、3冊目の
朽ちていった命―被曝治療83日間の記録 (新潮文庫)
東海村臨界事故で被曝し、最新の治療の甲斐なく亡くなった方の記録である。
小出さん曰く、読むに堪えないほど壮絶な闘病と最期であるらしく、
ふがいない僕は、怖くて読めずにいる。
今生きている人のほぼ全員が生まれて初めて経験した大震災。
そして、原発事故による放射能被曝の恐怖。
この悲しい事故を契機に立ち上がって声をあげる人もいれば、
便乗して儲けようとする人がいる。
僕は先日、ブログで世の中を批判するのはやめようと決意して
ブログのタイトルや内容も変えた。
舌の根も乾かないうちに批判かと思われるかもしれない。
しかし、これは批判ではない。
出版社と著者に対する糾弾である。
内容も読まずに糾弾する資格はないのかもしれない。
しかし、もう一度目次を見てください。

◎ 目 次
はじめに
1章 なぜ、放射線が身体を蝕むのか
2章 アンチエイジングと放射能防御の考え方は同じ
3章 これから10年、20年と正しい食事で放射線の害を予防する
4章 サプリと栄養素で放射線に負けない抗酸化力アップ!
5章 自分でできるデトックスと免疫力アップ
おわりに

アンチエイジングや、サプリ、デトックス等、健康オタクが
飛びつきそうな単語が飛び交っている。
1章に「なぜ、放射能は身体を蝕むのか」とあるが、
小出裕章氏は、
放射能は身体をDNAのレベルで破壊するから、
今の人間の力では、一度内部被曝したら手の施しようがないと書いておられた。
確かに免疫力によっては、
被曝してもその影響にほんのわずかな差は生じるかもしれない。
しかし、それで「放射能に負けない体」などと安易に言っていいのか
著者と出版社が自信があるならば、
この本を持って行って、
福島の放射能汚染地域や周辺に住んでおられる方々を
一軒一軒回ってみて欲しいものだ。
日々、放射能汚染や被曝の恐怖に脅えながら生活されている方々のことを
考えたら、こんな本は出版できないはずじゃないか!
  1. 2014/08/09(土) 02:18:01|
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